ヴァッレ・ダオスタ州唯一の県アオスタには、紀元前2900年にはすでにケルト・リグーレ系の民族サラッシが定住していた。そして紀元前25年、ローマ皇帝アウグストのもとアオスタは"アウグスト・プラエトーリア"と呼ばれる正式な町となった。現在でもこの頃建造された町を囲む六角形の壁を観ることができる。この壁にはプレトーリア門と西側のレッブローゾの塔、現在展覧会会場として利用されているTour Fromageを始めとする20本の塔が建っている。
10世紀皇帝カロリンジョが崩壊した後、アオスタはブルゴーニュ王国下に置かれる。1032年ブルゴーニュ王国が崩壊した後はサヴォイア家ウンベルト・ディ・ビアンカマーノ伯が町の主権を握り、その後9世紀の間サヴォイア家が主権を握り続けた。その後イタリア共和国と合併、1948年特別憲法の発布によりヴァッレ・ダオスタに独自の自治権が与えられた。
またヴァッレ・ダオスタの特徴として言語がある。その位置から、ヴァッレ・ダオスタの住民の大半はフランス語のプロヴァンス方言を公式に使用している。
ヴァッレ・ダオスタには多くのローマ遺跡が存在する: ローマ劇場、フォロからテルメ、ブシエール渓流にかかる橋からアウグストのアーチと州立考古学博物館まで遺跡のツアーを楽しむことができる。尚、アウグストのアーチと州立考古学博物館(壁の外側に位置する)以外は歩行者のみの出入りが可能。
また中世期の歴史物としては、聖ピエトロ・オルソ聖堂、財宝の博物館のあるサンタ・マリア聖堂等が挙げられる。
州内には、モンブランから流れるドラ・バルテア川が北西から南東に向かって横切り、この川の水はピエモンテ平野を渡りポー川と合流している。このドラ川の東側に位置するグラン・パラディーゾ(標高4061メートル)国立公園の麓にはCogne、 Rhemes-Notre-Dame 、 Pont などの町が広がる。また川の北側には Courmayeur、 La Thuille、 Cervinia、 Champoluc、 Saint-Vincent、 Gressoneyなどのスキー観光地が存在する。
その他山の中には数多くの城が聳え建っている: フェニス城、サント・ピエール城。
主な特産品は、標高1600メートルにあるSaint-Rhémy-en-Bosses村の特産品Vallée d'Aoste Jambon de Bosses DOP(ハーブで香りをつけた生ハム)、フォンティーナチーズ、フォンドゥータ(パスタ・ポレンタ・肉・トーストなどにあえて食べるクリーム)など。
また、高品質なワインの産地であり、生産量は毎年約100万本に制限されている。主なブドウ品種:Chardonnay, Müller Thurgau, Petite Arvine, Pinot Gris, Fumin, Gamay, Petit Rouge, Pinot Noir e Prëmetta。
この地では、食後に il Genepy(ハーブの蒸留酒)、ブドウかすのグラッパなどのリキュールを飲むのが伝統的である。更に特徴的な伝統として、"友情のカップ"と呼ばれる、数箇所に注ぎ口があり回し飲みできるようになっている"グロッラ(ふたつき木製カップ)"、コーヒー・レモン・グラッパ・砂糖・そしてヨモギをべースにした特徴あるリキュールをミックスしたヴァッレ・ディ・アオスタのコーヒー(飲んだ人はのどが詰まる!と言われている)等が存在する。
写真提供:l'AIAT Monte Cervino |